6月のごあいさつ

6月、梅雨を迎える季節となりました。お元気にてお過ごしでしょうか。
私存じ上げておりませんでしたが、6月16日は「和菓子の日」なんだそうです。
小耳に挟んだところ歴史は古く、西暦848年に当時の天皇が疫病をはらい、健康でいられるようにと1と6の数にちなんだ菓子などを神前にお供えしたのが始まりらしく、その後もその風習は引き継がれ1980年頃「和菓子の日」として制定されたのだとか。
現在では1と6を足した7にちなんだ商品を売り出している和菓子屋もあるようでございます。

私どもの店は「まるはち(08)」でございます。


7かぁ・・・。

7かぁ・・・。












小事、小言でございますが・・・。
私、恐怖という感情は無知や不慣れから発生するものなのかなと考えている所存でございます。
ここで申し上げます無知とは知らない世界であったり、遭遇するとは思ってもみなかったことが起こったり。
死後の世界がもしファミリーレストランと決定しているのであれば、ドリンクバーの割引チケットを抱いて、安らかに逝かせていただきますし、お化け屋敷に入る前にびっくりオバケ出没ポイントがわかっていれば(可能であれば出てくるオバケのプロフィールまであれば幸いでございます)出てきた時に挨拶なんかできる余裕が生まれるわけでございます。
色々種類はございましょうが、予想出来ればあまり恐怖は感じないのではないか。そう申し上げているわけでございます。

先日、スタッフの後谷さん(仮名)と休憩が重なり他愛もない話をさせていただいていたときの事です。
私よく今日の夜ご飯の話をスタッフさんに振るのが好きな性分。
今日の夜ご飯何にするのか、だったり昨日は何食べたのかよく質問させていただきます。
そうするとスタッフさん達は
(またこの質問かよ。いつも同じような私生活への質問。もしかしたらストーカー気質なんじゃ?)
という気持ちを隠し持ったような笑顔でいつも答えてくれるのです。優しいスタッフさん達でございます。
私にとって夜ご飯というのは一日のお疲れ会のようなものであり、幸せの時間。スタッフさん達の夜ご飯を聞いて、いいなぁー美味しそうだなぁと思い巡らすことが好きなのです。

そんな私に捕まった後谷さんは夜ご飯について質問されることはおそらく既に覚悟していたことでしょう。
その日は春爛漫も過ぎ、若干暑さを感じる日でございました。

私「今日の夜ご飯何にする予定ですか?少し暑いし夏っぽい食べ物とかいいですよね。」
後谷「そうねー素麺とか?」
私「でも、まだ夏!ってわけでもないから間をとって蕎麦とかどうですか。」
後谷「でもアタシ蕎麦食べたこと無いからやっぱり素麺がいいなぁ。」

…ん?
私は違和感を覚えました。
なんか変だ。…やっぱりおかしい。

後から思い起こせば、この時点で異様な空気感に包み込まれ始めていたのです。


いや、ありえない。蕎麦を素通りして日本で生きていくことなんて出来ない。今の時代どのコンビニにも蕎麦はあるし、年越蕎麦だって未だ根強い人気を誇る文化のはず。それらを掻い潜って生きてこれたというのか、このお方は。

食わず嫌い?いや、食わず嫌いは通常見た目が苦手で。とかそのような理由がある食べ物に通用する。
蕎麦のどこに食わず嫌いが通用しようか。わかった!蕎麦アレルギー!!これだ。これしかない。
簡単なことじゃ無いか!

突如現れた異質な回答に、私は必死で安らぎを求める為に理由を考えだしたのでございます。
独断偏見ではございますが私にとって蕎麦を食べたことない日本人はアレルギー以外考えられないからです。

私「あ、後谷さんもしかして蕎麦アレルギー!?」
後谷「違うよ」


ドッバーーーーーン!!!!
私の安定を求める為に用意した質問がいとも簡単に敗れ去ってしまったのです。鉄の盾と信じて疑わなかったモノが、まさか濡れティッシュだなんて。

理解の及ばない回答に「私の中の私」は恐怖に怯え膝を抱きながら座り、こう呟きます。
「…ゲテ。…逃ゲテ。」

しかしその言葉は私には届きません。
よくホラー映画などで最初の犠牲者が「いや、その扉開けたらダメだって!絶対何か居るって!」という雰囲気の扉をゆっくり開ける、あの状況でございます。



「…ゲテ。逃ゲテ。」


私「あの、、後谷さん、ひとつ聞いていいですか?」
後谷「いいよ。」


「…サレル。…殺サレル。」


私「蕎麦ってどんな味だと思います?」







後谷「んー…ピーマン。」








こうして「私の中の私」はピーマン蕎麦によって息を引き取りました。



次にピーマン蕎麦の扉を開けるのは…あなたかもしれません……。








投稿者:まるはちふくれ菓子店